TOP

導入事例導入事例一覧へ

セイコーエプソン株式会社 様

煩雑な物流業務及び物流拠点の改善のため、RaLC活用による見える化・効率化を実現。

セイコーエプソン株式会社
設立/1942年5月18日
代表者/代表取締役社長 碓井 稔
本社所在地/長野県諏訪市大和三丁目3番5号
資本金/532億400万円
売上高/連結 11,224億円/単体 6,769億円(2009年3月期)
従業員数/連結77,936名/単体 13,502名(2010年3月31日現在)
事業内容/情報関連機器(プリンター、スキャナー等コンピューター周辺機器及びパソコン、
液晶プロジェクター等映像機器)、電子デバイス(ディスプレイ、半導体、水晶デバイス)、
精密機器(ウオッチ、眼鏡レンズ、FA)、その他の開発・製造・販売・サービス
URL:http://www.epson.jp/

ウォッチ事業で蓄積した超微細・精密加工技術を基盤に、情報関連機器、電子デバイス、精密機器にわたる広範な事業を展開するセイコーエプソン株式会社様(以下、エプソン)。最近では、08年6月に「環境ビジョン2050」を掲げ、2050年までに商品とサービスのライフサイクルにわたるCO2排出量を10分の1とし、地域社会とともに生物多様性の修復と保全を行うなど、積極的に環境活動に対する取り組みも行っています。


採用のポイント

荷主と物流事業者がWIN-WIN関係を築くために

04_photo_p02

セイコーエプソン株式会社 機器情報化推進部 主査 尾中 慎介 氏

実際に物流コストの削減は、多くの企業が長年取り組んでいるが、その手法を見ると、『前年比で何%下げて欲しい』といった総額・単価交渉が少なくない。尾中氏は「物流コストの中身をきちんと可視化することで、具体的に荷主と物流事業者それぞれにとって、サービス・コストのバランスが明確になり、双方にとってWIN-WINの関係になっていくはず」と期待する。
従来の物流改善では、いくつかの改善案を出しながらも、数値化に基づいた比較検証ができないまま、どれかに絞らざるを得ないことがあったという。また、IE(インダストリアルエンジニアリング)の観点から、ストップウォッチを用いた物流ABC分析が主流となっていた。このため、「約30拠点におよぶ全拠点で莫大な工数をかけて、定期的に観測していくことが困難で、こうした課題を解消するためにも、RaLCの導入に踏み切りました」(尾中氏)。
このように物流業務の改革・改善を推進するため、エプソンは2007年10月からシーイーシーの3Dシミュレーションソフト「RaLC」を導入。作業の数値化、見える化に基づいたボトルネック箇所の検証・倉庫の最適配置の検討・最適動線の検討を行っている。主な活用方法として尾中氏は、「現状のレイアウト、作業員数、作業ごとの平均投入量・時間、作業手順、作業標準時間などを入力する。いくつかの改善案に基づき、レイアウト変更や動線変更、作業員数、投入量をシミュレーションし、どの案が最適かを判断しています。定量的な分析も可能で、物流ABC分析・EIQ分析なども行うことができます」と評価する。


活用例

【事例1 東北地方の関連会社でのRaLC活用例】
分散した生産施設と倉庫の最適移動距離を検証

・RaLC活用の狙い

製造を最重要視したレイアウトによって、倉庫とその関連する施設が、製造エリア周辺の4ヵ所に分散。このため、関連施設との往来に時間がかかってしまっていた。そこで、分散した施設の集約化と効率化が可能かどうかについて事前検証を実施。

・検証結果

(1)RaLCで検証した最良案により、作業員の稼動時間が1日6.3時間、動線距離が1日4km短縮されるとのデータが得られた。

(2)この結果を持って関連会社の施設管理責任者への改善依頼を実現。レイアウト変更により作業者を1名減らすことができるという具体的な数値効果を示し、レイアウト変更を依頼することができた。

【事例2 関東地区の情報機器関連サードパーティーデポでのRaLC活用例】
24時間稼動体制を通常勤務体制に変更可能かを検証

・RaLC活用の狙い

作業員の人員配置と勤務時間・物量・1日4~5回あるピッキング開始時間の関係をシミュレーションにより明らかにし、夜勤をなくした場合に出荷時間に支障が出ないかの事前検証を実施。

・検証結果

(1)作業員の勤務体系・人数・ピッキング作業の開始時間をできる限り前倒しにすることにより、現状の仕組みを大きく変えずに夜勤勤務をなくしても、出荷時間に支障が出ないことが判明。その結果を受けて、作業員の勤務体制変更を実施。大幅な人件費削減を実現した。

(2)さらに、現行のピッキング方式(シングルピッキング)に、一部トータルピッキングを混在させることにより、大幅な時間短縮が図られることが判明。現在、ピッキング方式の変更も検討中。

04_photo_03
「RaLCによって現場を絶対値で完全に再現することは難しい面もあるが、相対値での評価には十分使える」(尾中氏)

04_photo_04
RaLCを使ってシミュレーション検証の実績を重ねた上で、ボトルネック箇所の見える化によって情報の共有化を図り、作業改善を進めていく取り組みを進めている。


今後の展望

情報システムの連携、顧客サービスへの展開を模索

エプソンでは、RaLCを活用し、今後は棚位置・在庫・入出荷計画表まで踏み込んだ本格的な物流シミュレーションの活用を検討。日々の物流動向からPDCAで回していくことも想定している。また現行は個別の活用となっているが、WMSやマテハン機器などとの連携により、より高度な利用も考えている。

gaikan

※ 文中に記載の会社名、役職名等は取材当時のものです。

RaLC導入の背景
  • 数値化に基づいた比較検証が難しかった。
  • 約30拠点におよぶ全拠点での観測や分析が困難だった。
RaLC導入の効果
  • 定量的な分析が可能となった。
  • 物流ABC分析、EIQ分析など幅広い物流分析も対応できるようになった。
  • WMSやマテハン機器などの連携も視野に入れることが可能になった。